Q.01 たばこの害を教えてください

A. 厚生労働省は、たばこが原因で亡くなっている人は1年に12万人程度と発表しています。しかし実際にはもっと多く、20万人~30万人と推定する専門家もいます。
たばこには4000種類もの化学物質が含まれており、200種類以上の有毒物質が含まれています。
これらが引き起こす病気は様々ですが、その代表的なものを挙げますと、

1.がん

肺、食道、胃、肝臓、膵臓、口腔底、舌、中・下咽頭、喉頭、鼻腔、副鼻腔、子宮頸部、腎臓、膀胱のがんや骨髄性白血病については、喫煙との因果関係が証明されています。
すなわち、たばこを吸えば確実にこれらのがんにかかるリスクが高くなる、ということです。

口腔や中・下咽頭がんにかかる人の6割以上がたばこを吸う人たち(喫煙者)です。また、喉頭がんにかかる人も9割以上が喫煙者で、そのリスクはたばこを吸わない人たち(非喫煙者)の30倍以上と言われています。

食道がんの場合、喫煙者は非喫煙者の5倍リスクが高くなります。喫煙者で毎日お酒を飲む人は10倍のリスクとなります。

2.心臓・血管疾患

喫煙は血圧を上昇させます。また不整脈の原因にもなります。
心筋梗塞・狭心症と呼ばれる虚血性心疾患の可能性が高まります。いわゆる心臓発作と呼ばれるものもこれらに含まれます。
喫煙者は非喫煙者に比べて、男女ともに、虚血性心疾患のリスクが3倍高くなります。また、心筋梗塞に限った場合では、男性で4倍高くなります。

たばこを吸うことで、血液をドロドロにする血中成分の増加や善玉(HDL)コレステロールが減少することで動脈硬化が促進されて、虚血性心疾患の発症リスクが増加したと考えられます。
破裂すれば即死の可能性もある大動脈瘤や大動脈解離のリスクも引き上げます。
歩行困難や、重篤になれば手足を切断しなければならない閉塞性動脈硬化症やバージャー病のリスクも高くなります。特にバージャー病は難病として特定疾患に指定されており、唯一の治療法が禁煙です。受動喫煙も厳禁です。

禁煙を実行すると、1年で再梗塞または虚血性心疾患による死亡率が半減し、15年禁煙を続けると非喫煙者と同レベルまでリスクを下げることができます。

3.肺疾患

COPD(慢性閉塞性肺疾患)はたばこ病と言われています。たばこを吸い続ければ、5人に1人がこの病気にかかると言われています。逆に、非喫煙者がこの病気にかかることは、ほとんどありません。肺気腫や慢性気管支炎といわれる病気がこの範ちゅうに入り、息が吐くのが辛くなり呼吸困難になっていく病気です。

進行すれば、歩行などの動作時に酸素を吸わなくてはならなくなり、外出する時に酸素ボンベをキャリーバッグに入れて持ち歩かなければならなくなります。
最終的には、呼吸不全になり亡くなります。予防は禁煙しかありません。

また、間質性肺炎や突然胸に激痛を感じ息苦しくなる自然気胸のリスクを高めます。
両親(とくに母親)が喫煙者であれば、子どもがぜんそく(気管支喘息)にかかるリスクが増大します。小さいお子さんのいるご家庭では、ご両親はたばこを吸うべきではありません。

4.脳疾患

脳梗塞死亡率のリスクは、喫煙者は非喫煙者の約3倍です。
1日の喫煙本数が25本以上の女性は、脳梗塞のリスクが非喫煙者の女性の2.7倍で、くも膜下出血のリスクはなんと10倍です。また、1日の喫煙本数が21本以上の中年男性では、脳卒中(脳梗塞・脳出血)のリスクが非喫煙者に比べて4倍以上になります。

しかし、2~3年禁煙しますと、脳梗塞をおこす危険率が、非喫煙者と同じくらいに下がります。
またクモ膜下出血も、禁煙により速やかにそのリスクを下げる、とアメリカの学会誌が報告しています。

5.消化器疾患

喫煙者は非喫煙者に比べ、十二指腸潰瘍のリスクは約2倍、胃潰湯ではそれ以上のリスクがあります。
喫煙者の潰瘍は治療に時間がかかり、時に多量の抗潰瘍薬が必要になります。また再発しやすく、再発までの期間が短いといわれています。

また慢性胃炎・逆流性食道炎・大腸ポリープ・慢性膵炎等も、喫煙によりリスクが増大することが証明されています。

6.歯周病

かつては歯槽膿漏と呼ばれていた病気で、歯肉炎と歯周炎に分類されます。
喫煙者は非喫煙者の2~6倍かかりやすいと言われています。
喫煙は、歯肉の血流障害を引き起こし、唾液の分泌量を減少させ、歯垢(プラーク)を付着させやすくします。そのため、たばこを吸う人は歯周病になりやすく、また治りづらく、たとえ完治しても再発しやすいのです。

7.骨粗鬆症

喫煙との因果関係が証明されています。
たばこの煙に含まれるニコチンやカドミウムが、骨細胞に毒として働きます。女性では骨から血液中へのカルシウムの流出を防ぐ女性ホルモンの分泌を妨げます。

8.糖尿病

ご存知ない方も多いでしょうが、喫煙は糖尿病のリスクを高めます。
毎日20本のタバコを25年間吸っている人は、非喫煙者と比べて糖尿病のリスクが1.5倍に増えます。

また、人工透析に至る原因疾患として最も多い糖尿病性腎症は、喫煙との因果関係が証明されています。

しかし、禁煙した際に、体重を増加させてしまいますと糖尿病になるリスクが逆に上がってしまう、という指摘も、最近のアメリカの医学誌のある記事に載っていましたので、体重増加には注意です。

ただしその記事では「だからといって、喫煙者はこの研究結果を、たばこをやめない口実にしてはならない」と警告しています。

9.眼疾患

喫煙は白内障や黄斑変性症の発生率を高め、視力を低下させることが知られています。

10.女性にとって…

早発閉経、不妊症、子宮外妊娠等は、喫煙によりリスクが高まることが証明されています。
妊娠前妊娠中にたばこを吸えば、前置胎盤、胎盤早期剥離、前期破水、流産、早産、周産期死亡のリスクが高まります。さらに生まれてくる子どもに対しては、先天奇形、低出生体重児、子宮内発育遅延、乳幼児突然死症候群、斜視、先天性弱視等のリスクが高まることも証明されています。

また、たばこを吸われる女性の方なら、お肌のしわやしみが非喫煙者の方よりも多くなることは、ご理解いただけるでしょう。たばこの煙のうち水溶性成分が直接肌から侵入し、表皮ではメラニン色素を増やし、しみ・くすみをもたらします。真皮まで侵入すると老化を進める活性酸素が発生し、それが皮膚の結合組織を分解させ、張りや弾力を保つコラーゲンを減少させるなどしてしわをつくります。

Q02. たばこの害は理解しています。しかし、それは本人の自己責任ではないですか?

A.ご本人は自己責任でたばこを吸っているつもりでも、喫煙は周囲にも迷惑をかけます。
たばこの煙を吸い込む受動喫煙により、たばこを吸わない周囲の人たちが病気になるリスクが高まるのです。
両親(とくに母親)が喫煙者であれば、子どもが気管支喘息にかかるリスクが増大することは証明されています。
ぜんそくだけではありません。急性気管支炎・髄膜炎・滲出性中耳炎・ちくのう(慢性副鼻腔炎)・乳幼児突然死症候群などは、親が喫煙者であれば、子どものリスクが増大することが証明されています。
中耳炎を繰り返すお子さんはよくおられますが、ご両親が喫煙者の場合は、たばこが原因である可能性があるのです。

受動喫煙は家庭だけではなく、職場でも起こります。
厚生労働省は、 受動喫煙が原因で肺がんや心臓病で死亡する成人は、国内で毎年約6800人に上ると発表しました。内訳は、女性が約4600人と被害が大きく、全体のうち半数以上の約3600人は職場での受動喫煙とみられています。
死亡者だけで毎年3600人ですから、職場の受動喫煙により病気にかかる人は毎年何万人もいる計算になります。
喫煙は周囲に多大な迷惑をかけていることを理解するべきです。

Q.03 受動喫煙は理解しており、いつも喫煙ルームやベランダ・換気扇のそばでしかたばこを吸わないようにしています。それなら周囲に迷惑をかけませんよね?

A.受動喫煙で周囲に迷惑をかけないためには、それだけでは不十分です。
受動喫煙の被害は「副流煙」と「呼出煙」を吸い込むことで起こります。「副流煙」とは、タバコの先端から立ち昇る煙のことです。これに対する言葉が「主流煙」で、これは喫煙者本人が吸う煙のことです。そして「呼出煙」とは、喫煙者がいったん吸い込んだ主流煙を吐き出した煙のことです。

この呼出煙を吸い込む受動喫煙は、喫煙者が呼吸をしている限りは防ぐことができません。たとえば、有毒物質である一酸化炭素は、喫煙者の呼気には非喫煙者の呼気の10倍もの濃度を含んでいることが多いのですが、最低8時間禁煙しなければ、非喫煙者並みの濃度にまで下がりません。

また、台所の換気扇を回しながら、あるいはベランダに出てタバコを吸った場合、台所と隣接した部屋や隣の家のベランダには、喫煙者周辺とほとんど同じくらいの濃度の有害物質が到達していることがわかっています。換気扇の下やベランダでタバコを吸っても、受動喫煙の被害を防ぐことはできないのです。
最近、多くの飲食店では、「分煙」制度が導入されています。しかしその多くは単に場所を分けているだけで、申し訳程度の仕切りがあるくらいです。これでは全く意味がありません。

また、たとえ部屋をきっちり分けていても、ドアが開いたり、喫煙者が移動したりした際に呼気から有毒物質が排出されて、ほとんど意味をなさないそうです。
専門家は「『分煙』はもはや死語。被害防止には全面禁煙しかない」と指摘しています。ある専門家の言葉ですが「分煙は、多くの人が泳いでいるプールの一部をトイレにするのと同じだ」そうです。

周囲の人の受動喫煙の影響を断ち切るためには、禁煙以外の方法はありません。

Q.04 禁煙治療に保険が適応されると聞きましたが、なぜ保険が適応されるのですか?

A.喫煙者の70%以上が、ニコチン依存症と呼ばれる病気にかかっているからです。
ニコチン依存症は薬物依存症のひとつです。禁煙したいと思っても、なかなか出来ないのは、この病気にかかっているからです。

禁煙がむずかしいのは、タバコに含まれるニコチンへの薬物依存である「身体的依存」と喫煙習慣による「心理的依存」の2つの依存を同時に克服していかなくてはならないからです。

Q.05 保険適応の禁煙治療は誰でも受けることができますか?

A.以下の四つの条件を満たしていれば、どなたでも禁煙治療に保険適応を受けることができます。

  1. ニコチン依存症であること。
  2. ただちに禁煙しようと思っていること。
  3. 1日の喫煙本数X喫煙年数が200以上であること。
  4. 各地方厚生局に登録をしている医療機関を受診すること。

ニコチン依存症であるかどうかは、簡単なアンケートで判断いたします。
なお、一度保険適応の禁煙治療を受けた方は、その後1年間は保険適応の禁煙治療は受けられません。
自費の禁煙治療は受けられます。

Q.06 治療の流れを教えてください

A.禁煙治療はスケジュールが決まっています。
期間は12週間で、そのあいだに5回通院していただくのが基本です。
医師は、禁煙のためのアドバイスや禁煙することにより得られるメリット・喫煙を続けることのデメリット等の説明をいたします。
薬物治療は、貼り薬か飲み薬かのどちらかで行われます。

Q.07 禁煙補助の貼り薬やニコチンガムは薬局でも売っています。禁煙治療を受けなくても禁煙できるのでは?

A.禁煙治療を受けずに禁煙に成功する人は、まだまだ少ないのが現状です。
ニコチン依存症の方が自己流で禁煙を試みた場合の成功率は10%未満と言われています。

薬局で禁煙の治療薬を購入して禁煙を試みた場合の成功率は20%程度、それに対して、禁煙外来を受診して禁煙治療を受けた場合の成功率は60%以上と言われています。
本気で禁煙したいのなら、禁煙外来を受診することをお勧めします。

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